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2006年7月18日 (火)

サンドラの最新作

大好きな作家サンドラ・ブラウンの最新作「愛はゆるやかに熱く 上・下」集英社文庫(原題:SLOW HEAT IN HEAVEN)をご紹介しましょう。この作品はロマンス小説作家として売れっ子だった彼女を“ラブ・サスペンスの女王”にした出世作でもあります。ロマンス小説よりも広い視点に立ち、複雑な構成の作品を書くのは彼女にとって大きな挑戦だったでしょう。でも常にニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストの上位にランクインされる彼女を見ればこの大きな挑戦が大成功だったのが分かります。

「愛はゆるやかに熱く」の舞台はアメリカ南部ルイジアナ州ヘヴン。そこに建つ<ベル・テール>美しい大地の意味を持つ古い屋敷とそこに住むクランドール家の人々の物語です。屋敷の当主コットン・クランドールは森林伐採会社の社長。コットンは一介の森林労働者から会社の社長令嬢メイシーと恋に落ち結婚して今の地位を掴みました。ベル・テールに住んでいてるコットンに会社と名家の威光で彼を敬うものの腹の中では彼をアウトサイダーの「白人のくず-ホワイト・トラッシュ-」としか見ていませんでした。結婚したもののメイシーは寝室を共にするのを嫌悪し子供に恵まれず、主人公のスカイラーと妹のトリシアを別々に養女とします。メイシーが早くに亡くなったものの二人の娘は美しく成長します。

6年前、スカイラーは交際していた恋人ケンと婚約発表をしようとしていた晴れの日にトリシアとケンの裏切りを知り打ちのめされたままベル・テールを出てロンドンに旅立ちます。そして6年後、スカイラーはコットンの心臓発作を報を受けて夫婦となったケンとトリシアの住むベル・テールに戻ってきます。心が重いスカイラーは広大なベル・テールの森に住む有能な森林作業員でケイジャンのキャッシュ・ボードローと出会います。彼は孤独で謎めいた生活と野性的で魅力に溢れた遊び人で女の噂が絶えない二面性を持っていました。そして彼はコットンの愛人だった女性モニークの息子でした。キャッシュの生活や態度に悩みながらも彼の有能さを頼りにするスカイラーの気持ちは揺れます。

南部に生まれ育ったサンドラが愛着のある南部の風土を描いています。アメリカ南部の閉鎖的なものの見方が伺えます。土着の人々はインサイダーで外部から自分達の中に入り込んできた人はアウトサイダー(よそ者)。今でも南部に残る階級意識が人を見下すような態度を生んでいるのだと思います。心の狭い住人からアウトサイダーは人々の尊敬を勝ち得ようとする様が描かれています。サンドラの小説にはたくさんの南部独特の習慣や言い回し、食べ物が出てきます。例えばザリガニの食べ方だとか、南部の金持ち娘をサザン・ベルと呼ぶとか、淀んだ入り江をバイユーと読んだり・・・ジャンバラヤ、ガンボこの2つには聞き覚えがありませんか?カーペンターズの歌の“JAMBALAYA”の歌詞にあったでしょう?ジャンバラヤはたくさんの具材の入った炊き込みご飯でガンボはオクラのスープ。

サンドラは毎回、様々なテーマで小説を描いています。飛行機事故で大統領夫人と入れ替わった女性を描いた「私でない私」、心臓移植した人々が次々に殺されていく「心までは消せない」、一卵性双生児の姉妹の一人が惨殺され残された姉妹がなぞを探ろうとする「いたずらが死を招く」など読み始めると止められなくなります。機会がありましたらどうぞサンドラの本を一度、読んでみて下さい。

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コメント

サンドラ、う~ん、久しぶりです。
骨折していたとき読んでからずっとご無沙汰。
読み出すと一晩徹夜しそうですからね。

お盆で仕事が休みの時にでも読むことにします。

投稿: tami | 2006年7月18日 (火) 21時50分

tami様
そうですね。サンドラは読み始めると物語に引き込まれてしまうので徹夜覚悟ですね(笑)
お仕事がお休みでゆっくり出来る時に読んで下さい。お楽しみは取っておいて下さい。

投稿: *aprile | 2006年7月19日 (水) 10時30分

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